この家は、道路に面した奥が浅く東西に細長いこの土地に建つ、農家を営む老夫婦の家です。
北の道路側に玄関を配置し西に接客のスペース、東にブライベートスペースを置き毎日の生活は東のプライベートスペースでおこなえるようにしました。
東西に長い住宅なのでほとんどの部屋が南に面し、二重サッシと高断熱のおかげで冬の日当たりの良い日はかなり暖かくなります。
シックハウスの元凶は高気密と大壁工法にあり、寒暖に気にならない微小な隙間が機械式換気に比べ格段に有効です。
また、木の耐久性を高め、人にもやさしく、絶対に高気密にならない昔工法の桧柱の眞壁工法としました。
木の香りは、気持ちを和ませ、とくに、桧ひばは虫が寄り付かなく、蚊もいなく、非常に健康的です。
この、昔工法の家は随所に職人の技がみられ、住んでいていつまでも飽きることがありません。
化学物質いっぱいの工業製品を使うのではなく、地元の材料で地元の職人さんが腕自慢の家を作ることこそが、省エネであり、仕事が生まれ、地方の時代にふさわしいと思います。
日本の高度成長期よりの工業化による省力化で生じた余剰の人たちに、雇用を提供できなかったところが、今日の問題につながるのだと思います。
ただ安ければ良いのではなく、多くの労力のかかったものに価値があり、それを80年、100年と使い込むことこそが未来への遺産となるのではないでしょうか。
先祖代々の農家なので、東に納屋があります。
道路南側より(ガレージのシャッター) 道路北側より(客溜りの奥に門が見えます。)
門より土庇を通って玄関へ 土庇より北庭を見る。奥に見えるのは腰掛待合です。
玄関 中の間
座敷 奥座敷
茶の間 食堂と台所